ナレーションのタブー!「てにをは」など助詞を立てるのがNGな理由

どうも、コガリョータです。

僕は今フリーのナレーターとして活動しています。

以前は都内のナレーション事務所に所属していたこともあり、地上波のテレビ番組をはじめ、様々な声のお仕事をした経験があります。

今回は僕が専門学校や養成所時代に教わったナレーションのテクニックについてお伝えしたいと思います。

ナレーションに興味がある人、ナレーションをもっと上手く読みたい人の参考になれば幸いです。

ナレーションでは基本的に助詞は立ててはいけない

助詞とは「が」や「を」などの、いわゆる「てにをは」と呼ばれる品詞です。

ナレーションでは助詞は立ててはいけないという基本的なルールがあります。

そもそも「立てる」とは「強調」するという意味です。語調を強めて意識的に言葉を目立たせることを言います。

ナレーションの基本中の基本は言葉を立てることなのですが、助詞だけは立ててはいけないというルールがあるのです。

それは何故か?その答えは言葉の力関係にあります。

例えば「ここにリンゴがある」という原稿があるとします。

この文章で強調すべきは「ここ」「リンゴ」「ある」です。

  • どこに?「ここに」
  • なにが?「リンゴが」
  • どうなってるの?「ある」

5W1Hの必要な情報なので、視聴者に漏れなく伝える必要があります。よって言葉を立てて読む必要があります。

では助詞である「ここに」の「に」と「リンゴが」の「が」を強調したらどうなるのでしょうか?

「ここリンゴある」

本来伝えなければならない「ここ」「リンゴ」「ある」よりも「に」「が」を強調するということは、「に」「が」よりも「ここ」「リンゴ」「ある」の情報が弱いことを意味してしまいます。

よって視聴者にどの情報が大事なのかが伝わりづらくなってしまいます。

初心者が助詞を立てたくなる理由

この助詞立ては初心者の方がやりがちです。

これには理由があります。

まず、ナレーションには「文頭が高く」「文末が下がる」というセオリーがあります。

単純に文章の最初の方は音程が高く出て、最後の方に行くにつれて音程が下がってくるというものです。

このセオリーを意識的に守っていれば助詞を立てたくなることはありません。

しかし、文頭を普通の高さの音程で出てしまった場合、文末に行くにつれて音程が低くなりすぎてしまうため、無意識的にどこかで音程を上げたくなるのです。

そこで音程の息継ぎとばかりに助詞で音程を上げて、文末に向かって下げていき、帳尻を合わせるのです。

つまり、何がダメかというと、文章の内容を視聴者に伝えることよりも、自分の読みの都合が優先されてしまっていることがダメというわけです。

解決方法は簡単です。

さきほどの「ここにリンゴがある」の例で言えば、「ここに」の「こ」で音程を上げることです。「こにリゴがる」と読むことで「に」と「が」で音程を上げる必要はなくなります。

助詞立てが許される場面

歌舞伎のセリフは往々にして助詞が立てられます。

「~と申す者ある!」など。

いわゆる調子読みと呼ばれるもので、もうそれ自体がメロディーでありセオリーなのでこの場合は許されます。(そもそもナレーションじゃないし)

ミュージカルの歌ゼリフでもメロディーが大事であり、助詞の音程が高かろうが譜面通りに歌うことが正しいことになります。

そこでナレーションの場合「調子読みっぽく読んでください」とか「歌うように読んでください」というディレクターからの指示があった場合は、セオリーをガンガン無視して読み散らかして良いということになります。

バラエティ番組なんかではセオリー通りに読んでも盛り上がりませんからね(笑)

プロのナレーターで有名な木村匡也さんや若本規夫さんなど、調子読みや助詞立てのオンパレードですが、もうそれ自体が「型」となりメロディーになっている場合は、逆にその読みに価値があるので期待されるということもあります。

まとめ

ナレーションにおいて助詞を立てるのはタブーとされていますが、キチンと狙って使えれば一つの武器にもなります。

セオリーを守ることばかりを意識するとつまらない読みになってしまいます。

しかし、応用というのは、基本が身についてこそ出来るものということです。

セオリーを知っていればより良い応用ができることでしょう。

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