どうも、コガリョータです。
僕は今フリーのナレーターとして活動しています。
以前は都内のナレーション事務所に所属していたこともあり、地上波のテレビ番組をはじめ、様々な声のお仕事をした経験があります。
そんな僕が考えるナレーションにおいて最も大事なことをお伝えしたいと思います。
ナレーションに興味がある人、ナレーションをもっと上手く読みたい人の参考になれば幸いです。
ナレーションを上手く読むために最も重要なこと
さっそく結論です。
ナレーションを上手く読むために最も重要なこと。それは「演技力を養うこと」です。
なんともありがちな、陳腐な答えのように思うかもしれませんが、これが大事なのです。
そもそも「演技力」とはなんでしょうか?
演技力という言葉を調べてみると【芝居などで、演技をする際の巧みな表現力。「演技力に定評のある役者」】とありました。これじゃちょっと抽象的でわかりずらいですよね。
これは完全に持論ですが、僕は演技力とは「嘘を真実に変える力」だと思っています。
皆さん、嘘をついたことはありますか?
ないとは言わせません(笑)
嘘をつくときは相手にその嘘を悟られまいと、できるだけ、さも真実のように表現すると思います。
そのとき試されるのが演技力です。
下手くそな嘘はすぐにバレてしまい、上手な嘘は相手に真実だと思い込ませます。
一時的に凌いだだけで後で嘘がバレるというパターンもあるかもしれませんが、とにかく相手に真実だと思わせる力が演技力だと僕は思います。
嘘を真実に変えるとはどういうことか?
ここで例を一つ。
誰かに旅行の土産話をしているとしましょう。
あなたは富士山に行ってきました。
誰かに富士山の頂上から見た景色を伝えるとき、あなたの脳内映像は富士山から見た景色になっているはずです。
登るまでが大変だった、そして登ったあと見た景色は最高だった、けど人が大勢いて落ち着いて見ることができなかったなど。他には、その場所の空気の冷たさを感じた肌の感覚であったり、強い日差しに目を細めた感覚など、体全体の細胞の記憶を呼び起こして相手に伝えることでしょう。
その感覚こそが大事なのです。
きっと相手はあなたの話を嘘だとは思わないでしょう。
では今度は実際に富士山に行ったことがないのに、さも富士山に行ったことがあるように相手に話したとしましょう。
そのとき試されるのが演技力です。富士山に行ったことはないけれど、他の山を登った記憶やテレビで観た映像などを駆使し、自分を騙し、あたかも富士山に登ったことがあるように錯覚して演じるのです。そのとき嘘をついているという感覚があってはいけません。
「嘘を真実に変える力」演技力があれば相手は話を信じるでしょう。
つまり、よく言う「下手な芝居」とか「大根役者」とかは嘘をつくのが下手なのです。
「良い役者」とか「名演技」とか言われるのは嘘をつくのが上手なのです。もっと言うと嘘を嘘とも思っていないのです。素晴らしい役者さんには真実しかないのです。
一匹の虫が教えてくれた演技力
もう一つ例を。
これは僕の実体験ですが、ある日、自宅のPCデスクでカタカタとパソコンを操作していました。
すると、右腕に痒いようなムズつくような、何かがあるような異物感がしました。
ふと右腕に目を落とすと、そこには今までの人生で一度も見たこともない正体不明の「虫」がいたのです。
僕は心底驚き、「ぅわあああぁぁぁーーーー!!!」と大声を出し、椅子から仰け反りキャスターがカラカラー!と音を立てすっ転びました。
次に見た時はもう虫はいませんでしたが、ここでハッとしました。「今、オレすげー演技上手だったわ」
その時期は演技の勉強をしていたので、アンテナが演技にはっていたのでしょう。
僕は興奮しました。今自分は、誰がなんと言おうと何かに驚いて恐れおののく人の演技ができた。
もちろん実際に起きたことなので、全てが真実で嘘が入り込む余地は無いのですが……。
そこで僕はこの状況を再現しようと思いました。
虫はもういないけど、虫が腕にいて、気づいて、うわー!と言って椅子から転がり落ちる。
やってみましたが真実とはほど遠い演技になりました。
そこで気づいたのです。これを真実にする力が演技力なのか、と。
「虫で驚く芝居」と知ってしまっているけど、虫には最初は気づかないのです。虫はいないけど虫が腕にいることに気づくのです。いないけど「いる」のです。いない虫を見て驚くのです。
これを成立させるためには、自分を騙し、メン・イン・ブラックのCM(分かる人いるかな?)の様に「記憶は消したよ?」といった具合に、これから起きることを知らない人になって演技する必要があるのです。そうしないと嘘になるのです。
ナレーションにおける演技力とは何なのか?
話をナレーションに戻しましょう。
ナレーションには必ず原稿があります。そこに書いてあることをそのまま読み上げるとどうなるでしょうか?
相手には文字を読んでいるあなたの映像が映し出されます。これではアナウンスです。
自分の脳内映像に原稿の文字が映ってしまっていたら、その映像が相手に伝わります。
文字から受けるインスピレーションを自分の体細胞に宿し、過去の体験の記憶を総動員させ、行ったことがない場所の記憶すらも作り出し、嘘を真実にして、読み上げるのです。
ナレーションというとアクセントや鼻濁音に気をつけなければと思う人もいるかもしれませんが、そんなものは木で言えば枝葉に過ぎません。
根っこの部分はこの「嘘を真実に変える力」が支えるのです。
いくら読むテクニックがあっても、自分が嘘をついている感覚があったら視聴者には「嘘っぽい」「なんか下手」と感じられてしまします。
拙い読みであっても、それが自分の中で真実ならば、きっと視聴者は映像に集中できることでしょう。
まとめ
ナレーションを上手く読みたければ演技力を養うことです。
そのためには自身の様々な体験にアンテナをはることが大切です。
自分の脳内映像に真実を映し出しましょう。
高音質☆プロのナレーションを迅速丁寧にご提供します 企業VP〜自主制作まで幅広く対応【即日納品可】【1文字2円】
0 件のコメント :
コメントを投稿